マーケティング

無料で運営する ということ

はじめに

今や無くては生活がなりたたないWeb世界。世界中のWebサイト数約19億。20年前と比較すると600倍以上、10年前とでも約8倍に膨れ上がっています。
(参考:http://www.internetlivestats.com/total-number-of-websites/)

これにサイトに付属するブログなどのぶら下がりページ数を含めると100倍は存在するといわれています。その中で無料で運営されているWebサイトは数え切れないほどあります。

一方で、一部課金/全部有料と違った運営スタイルも存在します。
当然そこには広告が関係しています。無料で運営するとはどういうことなんでしょうか。広告会社の観点で少し考えてみたいと思います。

1.無料で運営する

Webサイトは個人レベルではほぼ無料でしょう。それは収益を目的としていないため、承認欲求を満たすためや自己表現の一環としてサイトが運営されているからです。個人であっても収益を目的としたサイトであればこの限りではありません。

では収益をあげることを第一とする企業がサイトを運営をする目的とは何でしょう?考えるまでも無く収益をあげるために顧客を獲得することです。ブランディングのためのサイトやオンラインショッピング用のECサイトなど、目的は全て顧客を獲得し収益をあげるために運営されています。

その中で広くとられる手法が「無料」での情報開示なのです。では収益が目的なのになぜ無料で情報を開示するのか。それは単純に有料化するとサイトに訪れてくれる方が極端に少なくなるからです。せっかくサイトを開設したのに見てくれる人がいなければ寂しくなりますよね。世界中に行き渡ろうとしているインターネットという一大集客モデルを利用するからには多くの人に見てもらわなければ意味がありません。そこで基本無料というサイトがほとんどなのです。無料の場合自社の価値や商品を普く知ってもらうために無料で開示する、これが基本的なスタンスなのですが(GOOGLEなど大手検索サイトはもう一つ先の考え方、情報を収集する、というという目的のため)、この手法が一人歩きしすぎて、無料で当たり前、と考える人もまた多くなりました。確かに無料開示サイトが多い中でそう考えられるのも仕方ないかもしれません。しかし、無料で運営する、というのも色々やり方があり、もちろんボランティアでサイトを運営しているわけではなく最終目的に沿ってサイト運営をしています。最終目的とは自社の商品を買ってもらう、またはサイトそのもので収益をあげるの二通りが大きく分けてあり、それぞれに辿りつく道筋に色々な手法があるよ、ということです。

何を長々開陳してるのか、という話ですが、Youtubeをご覧になられる方、多いですよね?動画の間に挟まる広告ウゼェ!って飛ばしたりするじゃないですか。ちょっとまって、その広告あるからこそ無料で視聴できるんですよ、だから見切って飛ばすんじゃなくてちょっと興味もってね、という話をこれからしていきたいのです(笑)

2.有料で運営する

ちょっと待って、でもお金とるサイト結構あるよね。または無料といいながら課金をもとめてくるサイトあるよね?という方への疑問に少しお答えしておきます。

2-1.有料サイト

前者はそのサイトで運営費と設定収益をまかなおうというサイトです。サイト運営そのものがビジネスのパターンですね。生活に密着しているもので例を上げれば「Hulu」や「Netflix」などの加入式VOD(電子レンタルビデオ)や「DAZN」に代表される有料映像サービス(OTTサービス)、有料マガジンなどです。有料サイト、というとすごく害悪なイメージが先行しておりますが、何もアダルト全開なサイトや詐欺まがいなサイトだけではないのです。今でこそ大分解消されましたが日本では長く民放地上波テレビ/ラジオ無料が広く浸透していた関係(次項で解説します)で、CS/BS放送の加入率が悪く、ましてやVODなんてという環境が産んでしまった誤解だと思われます。でも考えてみるとCDやDVDなどはレンタル店で借りることに問題はないが、Web上でインターネット回線を介して購入することには抵抗があるというのはよくわからない構造ですよね。米国欧州をはじめとする世界レベルでは、動画は自分の好きな局/番組のみを買うという考え方や、情報は自分の好きな時間に楽しむためにいる分だけ購入するという考え方が浸透しており、データ購入という考え方に抵抗はありません。この辺は突き詰めるとキャッシュレス決済が日本では遅れていることにも繋がってくるのではないでしょうか。知らんけど。

そういったわけで取り分け海外では有料サイトまたはコンテンツが一般的に受け入れられているためにビジネスとして収益モデルが成り立っています。また例にあげたコンテンツも単価をさげるために広告を掲載したりします。無料まではいきませんが、競合他社がいる関係上定期金額が安いことは広くユーザーを集めることに寄与します。そこで広告出稿を募り、その広告費にて経費をカバーするわけです。また、広告を出稿する側から考えると能動的にコンテンツを購入している分ターゲットがすでに絞られており自社商品がマッチングするかどうかで広告出稿できますので効果効率の高い広告宣伝が出来るとも言えます。また次項で説明する三者間市場に慣れているためTVCM的に広告がだせるので広告に対する忌避感が少ないです。料金が見合うなら検討するべきでしょう。

2-2.課金型有料サイト

次に一部課金制のサイトについて。すぐに思いつくのはニコニコ動画やゲームアプリなどですよね。クラウドサイトのDropBOXもそうです。広く無料でユーザーを集めて、もっと快適に使いたいとか一部のアイテムやシナリオをGETするには課金してね、みたいなシステムのやつです。当然無料ユーザーと課金ユーザーでレベル差が発生し、ゲームの場合バランスを崩したものだと無料だと先にすすめなくなったり対戦上著しく不利になったりします。これ、難しい用語で「フリーミアム」といいます。大多数の無料顧客と一部の拡張サービスを利用する有料顧客で成り立つビジネスモデルのことです。(詳しくはhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%82%A2%E3%83%A0)

実はこのビジネスモデルは一部の有料顧客がほぼ運営費を捻出しています。5~15%の有料顧客が他の圧倒的多数の無料顧客を支えているんですね。無料サービスの拡大再生産提供コストが低いデジタルコンテンツと親和性が高い、といわれているというか原価=ほとんど人件費というデジタルコンテンツ以外ではほぼ不可能なモデルではないでしょうか。ということでWebビジネスでは多用される収益モデルであるのは間違いありません。無料ユーザーが有料ユーザーに対して悪意を持つのは心情的にはわからないではないですが、有料ユーザーが嫌気を出して逃げてしまうと収益モデルが崩壊しますからそのサイトは運営を終了するしかありませんのでお気をつけて。。。またフリーミアムモデルでも広告を掲載することがあります。それはOTTサービスと理由は同じで経費カバーのために広告を募ります。ただし、このビジネスモデルは圧倒的な無料顧客と有料顧客で構成されいますので、無料客側は広告が鬱陶しいと感じるものの致し方ないとして、有料顧客側はわざわざお金払って機能拡張した上に広告見せられている。消す機能はないのか、という葛藤を抱えるケースがままあり(実際に有料会員サービスとして広告非表示をうたうサイトもあります)、必ずしも広告と親和性が高いとは個人的には感じません。無料顧客がいるがために自身は有料顧客として差別化されるべきだ、という区別的感情が湧くのです。当然有料顧客は自分の嗜好にあうならばお金を払う顧客なので、そのまま自社商品を購入する優良顧客へ移行するポテンシャルは秘めているのですが、ケースバイケースで判断しないとユーザーから嫌気を感じられる場合もありますので、注意深く検討しましょう。

また、無料有料という関係で似たビジネスモデルに直接内部相互補助モデル、というのがあります。これは無料で配布をしながら有料版なども同時に配布し、無料分のロスを有料分で取り返すという仕組みです。仕組みだけ聞くと似てるように感じるのですが、実際は少し違います。また、付加サービスを無料や安価で提供する場合もこのモデルの中に入ります。オンラインショッピングサイトなどでみられる、商品を購入すれば2個目は半額とか。いわゆるお試し版や付加サービスを無料などで提供しておいて有料コンテンツで提供した分も含めて収益を回収しようということ、すなわち顧客自身が無料分を有料分で補うこと、なんです。実はこのビジネスモデルはWeb上だけにあるものではなくて、古くから使われてきてる手法ですよ。身近な例でいえば銀行口座。開設するのは無料ですがシステム利用するには手数料いりますよね。または携帯電話0円。携帯自体は無料でも月々使用料で還付されていきます。ガソリンスタンドの窓拭きサービス。スーパーのお買い上げ●千円分以上で駐車料金無料などなど。顧客が有料顧客であることが前提で成り立っているサービスは直接内部相互補助モデルに分類されます。

ということで次項へ進みたいのですが、長くなりすぎたので次回へ回したいと思います。次項は「無料で運営する を考える<三者間市場とハイブリッド思考の広告展開>」になる予定です。まぁどう説明していっても、広告鬱陶しい!やこのサイトは広告が増えて利益追求がぷんぷんしてきたからもうダメだな!といった意見の方を変節するには至らないでしょうが、少しでも聞いて頂けるとありがたいのです。。。

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仕事中@
1977 年熊本生まれ。ノリと気合の営業部 員。好きな言葉は「阪神勝利」。口癖「今日阪神どやった?」。娘に嫌われながらも 仕事に育児ハッスルハッスル。
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