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パリにある、死の帝国〜カタコンブ・ド・パリ〜

フランスの首都、パリと言えば・・エッフェル塔、凱旋門、ルーヴル美術館、ノートルダム大聖堂・・・そしてカタコンブ・ド・パリ!
今回はこの、フランスモチーフの服やカバンに絶対に描かれないだろうパリの名所であるカタコンブ・ド・パリについて書かせていただきます。
入り口の上に掲げられた言葉は「Arrête! C‘est ici l’empire de la More!」「止まれ!ここは死の帝国である」
パリの地下・・・130段の階段を降りた先にある約600万人の人骨が葬られている世界最大のカタコンブ(地下墳墓。イタリア語のカタコンベが一般的)を訪れた感想や歴史、アクセスや料金などをお伝えいたします。

※コチラの記事には骸骨などの写真が掲載されています。苦手な方はご注意ください。

まずは、ご紹介〜カタコンブ・ド・パリの概要〜


カタコンブ・ド・パリは、フランスの首都パリの地下にある世界最大規模の地下墓地です。

約600万体の遺骨が納められており、正式名称は「ロシュエール・ミュニシパル(市営納骨堂)」と言います。深さは地下20m~30m。パリ全域の地下に広がり、全長500kmはあると言われています。ちなみに、一般公開されている見学コースはそのうちの約1.7kmです。

成立は1786年。埋葬されている著名人は、フランス革命でギロチン処刑された、マクシミリアン・ロベスピエール、ジョルジュ・ダントン、カミーユ・デムーラン、アントワーヌ・ラヴォワジェ。また、その敵方とも言えるルイ15世の公妾のデュ・バリー夫人も埋葬されています。また、作家のフランソワ・ラブレー、ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ、シャルル・ペローもおさめられています。ただ、骨は特定されていません。理由は後ほど説明させていただきます。

死の帝国を訪れて〜カタコンブ・ド・パリの感想〜

地下鉄を出たら、探すまでもなく、すぐに分かりました。道路を挟んだ歩道に長蛇の列が目に入ったからです!

日本ではマイナーでも白人には人気の観光地だとは聞いていましたが、オープン前の午前9時30分なのに既に長蛇の列。数百人並ぶこともあるそうで、インターネット予約をしていなければ2時間~4時間待ちというのも納得です。しかしこの長蛇の列、きちんと200人ずつの入場規制がされているからで、中に入ってしまえば人も少なく比較的ゆったりと見学ができました。
130段の階段を降りたあと、いよいよ地下道へ。

薄暗いひんやりした地下道。

このマーク、さりげなく下に転がっているのは頭蓋骨なのでしょうか?
ちなみに、さすがは観光地。予約するとオーディオガイド(英語あり)がついてきます。ただ、このオーディオガイド、音声ガイドの数自体が多い上に、一つ一つがものすごく長い。最後まで聞いていると、後ろの人に追いつかれてしまいます・・。私は英語を長時間真剣に聞いていると疲れてくるので、気が向いたら聞く、ということにしました。
(つまりせっかくのガイドはほぼ無駄に)

少し進むと展示スペースがあります。そしてここから先がいよいよ「死者の帝国」!

入り口の上には「止まれ!ここは死の帝国である(Arrête! C’est ici l’empire de la Mort)」の文字が。

入り口をくぐればすぐに、薄暗い地下道の両側の壁に隙間なく積み上げられひしめき合う骸骨、人骨、骨骨骨・・。600万体から700万体の骸骨がなんの出し惜しみも、仰々しい前振りもなく、淡々と登場。



触るのは禁止ですが、柵も一切なし。至近距離にリアル骸骨。


ハート型や十字架になっている頭蓋骨もありましたが、これはよくいう
「製作者の遊び心」なのかどうかはオーディオガイドをほぼ捨てた私にはわかりません。

私は以前にオーストリアのカタコンベにも行きましたがそこでは壁越しに骸骨を見るかたちで、「見学」といった感じでした。しかしカタコンブ・ド・パリは「入っている」。自分がまさに、「墓場に入っている」という感じです。まさに死者の帝国。

低い天井、骸骨に囲まれる両壁。まさに墓場。
ちなみに皆様気になるところかと思いますが、匂いはほとんどありません。うっすらとお香のような匂いが漂っているくらいです。地上に比べれば、湿度も感じられる気もしましたが、もともとフランスは非常に乾燥しているためこれも全く気になりません。
音楽など一切なく、観光客も雰囲気に圧倒されてか小声で話している静謐な空間。つまり、とても居心地がいいです。


搬入日や死因となった事件を示したプレートや、聖書の一節やウェルギリウスの『農耕詩』の一節を書いたものもありました。

カタコンブ・ド・パリの見学ルートに電気が引かれたのは1983年で、それまではろうそくを手に見学していたそうです。ろうそくの揺れる炎を片手に、訪れる死者の帝国なんて考えただけでもうっとりしますね。
長い階段をのぼって生者の国に戻るとお土産屋さんがあります。

歴史やオカルトの本と、オリジナルグッズ、骨グッズがそれなりに充実しています。


私はミントのタブレットを買いました。中も骨になっていてとても可愛いですね。

なぜ首都の下が、世界最大の地下墳墓になったのか〜カタコンブ・ド・パリの歴史〜


ヨーロッパにはさまざまな地下墓地がありますが、カタコンブ・ド・パリはもともとはそのために作られたものではありません。もともとはこの地下道は地下採石場でした。パリの美しい石造りの建物をつくるため何世紀にも渡って、街の発展とともに拡大されてきました。採石場が老朽化するに従い、地盤沈下などの問題が起こりはじめたため18世紀後半に政府が調査を行いました。

その頃、採石場の問題もさることながらパリはもう一つ申告な問題を抱えていました。パリではキリスト教が伝来してから、遺体は教会の地下などの聖域に土葬していました。しかし、10世紀になるとパリに人口が密集し始めたことから墓地の場所が不足。12世紀の頭頃に新しく作った、集団埋葬墓地サン・イノサン墓地も17世紀には満員状態に。腐臭であふれ、衛生状態の悪化にともない疫病が蔓延。1780年にはサン・イノサン墓地周辺の地下ワイン貯蔵庫の壁が遺体の重さで倒壊。もともとこの貯蔵庫ではワインは1週間もしないうちに酸っぱくなり、食べ物は腐ったと言われるほどひどい状況だったそうです。1785年11月にサン・イノサン墓地は閉鎖されました。

ここで、2つの問題を解決する一石二鳥の策がうまれたわけです。地下の空洞をあふれた遺骨で埋めて、地盤沈下と遺骨の安置所不足の問題の一挙解決です。1786年にサン・イノサン墓地をはじめ、パリの地下に埋葬されていた遺骨を採石場跡にうつしはじめます。こうして世界最大の地下墓地はうまれました。ちなみに、骨の特定ができない理由もここにあります。もともと、狭い場所にかなり乱雑に埋葬されていた遺骨をおさめたため、人物の特定はできない、ということのようです。

訪れるために〜カタコンブ・ド・パリの観光情報〜

カタコンブ・ド・パリの入場料・営業時間など(2019年2月現在)
入場料:当日券は大人:13€ 予約券は大人:29€
営業時間(季節によって変動あり):10:00~20:30(最終入場は19:30)
定休日:月曜
所要時間:約1時間
所在地:1,avenue du Colonel Henri Rol-Tanguy 75014 Paris
アクセス:地下鉄4番線・6番線・RERB線Denfer-Rochereau(ダンフェール・ロシュロ)駅から徒歩2分
予約券は公式HP
http://catacombes.paris.fr/en/visit/access-opening-times-accessibility
からクレジットカードで購入できます。

観光プチ情報

・平均気温は14度。地下は夏場でもひんやりしているので、外が暑くでも上着があると安心です。
・スーツケースや大きい荷物は持ち込み禁止です。
・階段も長いし、距離もなかなか歩くので歩きやすい靴でいくのがいきましょう。
階段を131段降りて112段登ります。
・撮影可能ですが、フラッシュ、三脚、自撮り棒は禁止です。

まとめ

チケットについては、待ち時間を考えると予約券を買うことをおすすめします。予約券は高く感じますが、当日券では2時間〜4時間待ちが普通だと思ってください。しかし高くても、待っても、実際に行ってみると本当に圧巻です!もしフランスに行かれるのなら、意外なパリの一面を是非訪れてみてください。

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つけま
顔はあるものではなく描くものだ、がモットー。ギタリストをこよなく愛し、本を読むのが大好き。でもあまり人に言えるような本はよんでいない。特技はハンガリー語。
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