レビュー

NHKドラマ10 昭和元禄落語心中6話〜最終回感想

2018年10月12日から放送。連続10回(予定)。初回は25分拡大。主演は岡田将生。

累計200万部を突破、魅力的なキャラクターと骨太なストーリーでマンガ賞を総なめ、若者たちを中心に落語ブームを巻き起こしている、雲田はるこさんの「昭和元禄落語心中」をドラマ化。
最近落語にご執心なのか超入門落語 THE MOVIEや落語ディーパー(放送終了)など様々な落語番組を放送しているNHKの送るドラマです。

以前民放でアニメ化もされており、こちらも大変好評。私は原作漫画は読んでおりませんが、アニメは見ておりますので、ある程度結末まで(アニメ版のではあるのですが)知っておりますのでネタバレは極力避けて感想を書いていこうかと思っております。

あと、落語のことはまったくの門外漢です。

ドラマのあらすじ(NHK公式サイトより引用)
昭和初期、落語の世界に入った八雲は、同期入門の落語の天才・助六と、固い友情で結ばれる。八雲は助六の芸に憧れ、嫉妬し、追いつこうともがき、芸者・みよ吉にも支えられ、成長していく。やがて、助六とみよ吉とが結ばれるが、ふたりは謎に満ちた事故死を遂げてしまう。八雲はその死を巡る秘密を抱いたまま、ふたりの遺児・小夏を引き取る。小夏は、八雲を「親の仇」と恨んで成長し、やがて天衣無縫な八雲の弟子・与太郎とともに、八雲がひた隠す「助六とみよ吉の死の真相」に迫っていく…。

6話「心中」

6話「心中」あらすじ
菊比古(岡田将生)は助六(山崎育三郎)と四国で再会。助六とみよ吉(大政絢)との間にできた娘・小夏とともに、助六に東京に戻って落語界に戻るよう説得する。だが助六は頑なに断り続ける。粘る菊比古は、四国で落語会を行い、助六を高座に復帰させようとする。その落語会の夜、菊比古の前に、みよ吉が現れる…。

(NHK公式HPより引用)

四国のシーンが素晴らしい。菊比古と助六と小夏の幸せの絶頂期。縁側に座って二人で野ざらしを演るシーン、自然光の中で撮ってるもんだからリアリティを伴った味わいに溢れて、とても幸福感に溢れてます。枯れ葉が一枚画面をよぎるんですよ。一瞬だし意図してない自然さがリアリティや実在感を上げまくってます。幸せだ。この幸せが続いてほしい。
んでその幸福感にみよ吉も混ぜてやれよぉ。なんだかんだ言って真面目に働いてるじゃねえかよぉ。
菊比古・助六の二人会を行う旅館も趣があってとてもいいですね。どこの旅館だろう。助六の芝浜がとても良かった、心を入れ替えて真面目に働いていくって決意を込めた芝浜です。山崎育三郎の名演だと思います。これ通しで見たい。全部収録してないのかな?何かの機会にどこかで一席やってほしいくらい。見てたみよ吉にも伝わったと思うんですよその決意も反省も。
でもねー伝わったからって受け取るとはかぎらないんだよなー。
ビックリしますよね。助六とみよ吉が亡くなる事故シーンの唐突感。
幸福感に溢れ、自然な演技だった前半シーンからの落差もあってかなり衝撃だったと思います。
ウチのオカンはあの事故シーン見るまで実在の落語家の半生をモデルにしたドラマだと勘違いし始めてたらしく、かなり拍子抜けした顔で「なにこれ?」って私に聞いてきたのが思い出すたびじわじわ来ます。うん、これ…漫画原作やねん。

7話「昇進」

7話「昇進」あらすじ
助六(山崎育三郎)とみよ吉(大政絢)の事故死から長い歳月が経っていた。
60代に入った八雲(岡田将生)は老いてなおその芸は美しく、落語界で孤高の地位を保っていた。そして八雲の唯一の弟子・与太郎(竜星涼)は二ツ目になり独立。養女である小夏(成海璃子)も八雲の家を出てひとり暮らしをしていた。そして与太郎に真打昇進の話が持ち上がってきた頃、小夏が一同の前で衝撃的な報告をする…。
(NHK公式HPより引用)

時代が昭和に戻りました。

年老いた八雲の姿、1話目に見た時のどうみても若いな、岡田将生だな、という違和感は薄れてきました。ないわけではないですけどね。すっかり八雲が板についたというか。

ただここらあたりから松田さんの禿頭がどうしたってギャグになってくるんだけど。気になるしウチのオカンはゲラ(笑いたがり)なので松田さんを見るたび笑います。

あとどうしたって半透明ぎみの山崎育三郎の幽霊のどう受け取っていいかわからない感。

このドラマ(アニメもだけど)、丁寧に人の生き方を描きながら時々幽霊が出たりファンタジーにぶっ飛ぶなどリアリティラインが揺らぐので見ててケツの座りがふわふわします。

8話「誕生」

8話「誕生」あらすじ
妊娠した小夏(成海璃子)は、父親が誰なのか、頑なに秘密を貫く。与太郎(竜星涼)は、かつて自分が所属したヤクザの組長(中原丈雄)が父親であるらしいことを突き止め、対決することに。
事態を静観していた八雲(岡田将生)は、小夏との関係に悩む与太郎に、ある落語を教える。その一席の落語がやがて、与太郎と小夏の運命を大きく動かしていく…。
(NHK公式HPより引用)

あれれ〜?組長さんと八雲の話が臭うよ〜〜〜?どうしてかな〜〜?
どうみても組長さんの子じゃねえだろこれ。

9話「秘密」

9話「秘密」あらすじ
与太郎(竜星涼)と小夏(成海璃子)が結婚してから歳月が流れた。与太郎は堂々たる真打、一方で八雲(岡田将生)は70代に入り、至高の芸は健在ながら、人知れずある悩みを抱えることになっていた。
そして、小夏はある疑惑を抱き始める。「父・助六(山崎育三郎)と、母・みよ吉(大政絢)の事故死には、なにかまだ秘密があるのでは…」。

(NHK公式HPより引用)

そんな師弟2代で舞台で倒れるとか…。漫画かよ。漫画原作だよ…。
みよ吉の幽霊が現れますが八雲と小夏に同時に見えてる意味がちょっとわかりません。
んんん〜?小夏のこじらせ感情の表れがみよ吉幽霊なのかな?とか思ってたんですがそれだと二人が同時に見る意味がわからなくなるし。不自然だなと。
もしかして本当に幽霊で、ただ単に花嫁衣装見に来た?ついでに菊さんの落語聞いてったん?

10話(最終話)「八雲」

10話「八雲」あらすじ
高座で倒れた八雲(岡田将生)は一命を取り止めた。一方で与太郎(竜星涼)と小夏(成海璃子)は、かつて助六(山崎育三郎)とみよ吉(大政絢)が事故死した夜に、四国で行われた落語会のフィルムを見ることに。そのフィルムを見て、小夏はついに忘れていた真実を思い出す。そしてその頃、八雲はただひとり、懐かしい場所を訪れていた…。
(NHK公式HPより引用)

フィルムの助六の芝浜を「これ知ってる」という与太郎。初めて見るはずなのに。以前八雲から教わった芝浜が助六の形そのものだったからなんですけど、こういう継承って伝統芸能の味わいなんですよ。私は歌舞伎を見るんですが演じている人から別の人の魂を感じることが度々あります。教わったことをしっかりと演じてくれる。演技を継承していくその場面に立ち会った瞬間の感動を観客でも味わうことがあるので、直接受け取った与太郎はどれほど感動したでしょうか。
そして小夏は事件の真相を思い出すわけですが、事故の真相の扱い方がアニメ版と変わりましたね。どう違うかはアニメを見てもらうとして、それによりみよ吉と小夏の親子関係を真っ直ぐに表現したように思います。あと「心中」の意味が変わりました。アニメの八雲は落語と心中はできなかったけれど一つだけ心中したことがあります。どういう意味かはアニメ見てください。
八雲が死んで黄泉路に助六とみよ吉が迎えに来ます。
この黄泉路のエピソードがまるまるドラマ版にはないのでアニメを見てほしいなあ。すごく好きなシーンです。あっちの世界があんななら私も行ってもう一度あの人やあの人の演技を見たい。そんなファンタジーシーンです。
信之助の父親は誰か?
ふわっと濁してますけど結構バレバレですよね。8話からしてどうしても親分さんじゃない感じだったし。しかしまだまだ関係は悪い時期だったと思うんだけどなあ。そこまでしてしまう小夏のクソデカ感情を私はちょっと飲み込みかねるんです。
なので、血はつながってなくともなんとなく似ちゃうってことはあるよねと思うことにしています。
与太郎が八雲を襲名。
若い菊比古と助六とみよ吉が客席で見守るなか、竜星涼の死神の凄みはちょっとゾクゾクするものがありました。

全体的な感想

いいもん見たなあ…すごい演技だったなあとじわじわと満足感を味わう作品だったと思います。

戦時中の落語の扱われ方などアニメにはないシーンもあってドラマ版なりの良さがありました。幽霊とか心中シーンのどうしても重さのある人間が演じるには少々無茶なシーンはどうしてもありつつ、やはり人間が演じるこのとのリアリティはドラマ版の良さでしたし、山崎育三郎とか大政絢ちゃんとか名前や顔は知ってたけど演技は見たことない役者さんの高い実力も見れました。

地味だったし少々ゆったりとしたテンポすぎるかなとも思ってたんですが終わって、改めて見てみるといいドラマだったなあ。

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角浦 内子
スマホ片手にドラマ見てます。恋愛ものは苦手。気に入った映画は繰り返し劇場で見るタイプです。
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